2010年12月2日木曜日

『生物多様性100問』盛山 正仁

 木楽社。監修、福岡伸一。
 折しも、この10月(2010年)、名古屋において、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が開かれたところである。でも、生物多様性ってよくわからない。これが購入動機のひとつ。そして生物多様性に関連して、ニセアカシヤ(ハリエンジュ)の問題を知りたかった、というのがもうひとつの動機。
 札幌といえばアカシヤ(通称)、という人も多いのではないかと思う。実際、市内の街路樹としてもよく使われており、今行われている駅前通の工事でも、このニセアカシヤを導入しよう、という計画がある。でもこれに反対する人もいる。なぜならこの木は、外来生物法における要注意外来生物リストに載っているからだ。河川敷などに繁茂して、生物多様性を脅かす恐れがあるという。えぇっ、今まで札幌でそんな問題聞いたことないよ、というのが、はじめ私がこの事実を知ったときに持った感想。で、実際のところはどうなんだろう、と。
 結論から言うと、ニセアカシヤの問題はこの本を読んでもよくわからない。何となく、ニセアカシヤは植えない方がいいのかもしれないな、という印象を持った程度。軽い肩すかしではある。
 もうひとつの、生物多様性ってよくわからない、ということについては、少しだけ雰囲気はつかめた。生物多様性には3つの観点があって、それは、生態系の多様性、種の多様性、遺伝子の多様性なのだそうだ。一般的には種の多様性だけが大きくクローズアップされる傾向にあるため、この3つの観点を知ったとき、視野は拡がった。
 とはいえ正直な話、その他のことについては表層的な議論ばかりが目立っていたような気がする。100の問題に対して、問いと答えと解説が並べられているのだが、生物多様性の根本の大事なことについては、あまり触れられていない。おそらくこれはこの本の構造的な問題でもあるのだろう。それぞれの問いにつながりを見いだすことが難しく、この本を読んでも生物多様性について系統立てて学ぶことはできない、と感じた。あと、言質が政府寄りの印象が強いのが気になった。日本はこんなに進んでいるんだよ、という自己満足的な主張の数々。
 救いは、福岡伸一による解説「生物多様性を解くキーワード、それは動的平衡」であろうか。生物多様性を保つことの重要性がわかりやすく、しかも的確にまとめられている。
 全体としては、厳しい言い方になってしまうが、生物多様性について系統的にきちんと知りたければ、他の書籍に当たった方がいいと思う。

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