2017年5月13日土曜日

『見るということ』ジョン・バージャー

 ちくま学芸文庫。飯沢耕太郎 監修、笠原美智子 訳。
 動物を観る。写真を見る。絵画を見る。彫刻を見る。野原を見る。これらを見ることで見えてくるものは何か。一般論を述べると言うよりは、個々の芸術家の写真、絵画等の作品を観ることで継起される解釈なりものの見方、言い方を悪くすると妄想、そんなものを綴っている評論集である。
 取り上げているのは、アウグスト・ザンダー、ポール・ストランドといった写真家、ミレー、クールベ、ターナー、フランシス・ベーコン、シーカー・アーメットといった画家、ジャコメッティ、ロダン、ロメーヌ・ロルケといった彫刻家の作品である。その中には有名なものもあるけれど、趣味が美術鑑賞という人でも知らないようなマニアックなものも多い。
 「見る」ということにとらわれすぎてこの本を読むと、ちょっと迷路に入り込んでしまうかもしれない。それよりは、もっと自由に作品を楽しむ感じで読むと、わりとおもしろい視点を得ることができるんじゃないかと思う。図版が少ないのが玉に瑕で、作品を頭の中で想像しながら読む場面も多かったが、作者の奔放な思考の流れを追うのは、なかなか楽しい経験だった。

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