2017年5月21日日曜日

『配色の設計』ジョセフ・アルバース

 ビー・エヌ・エヌ新社。副題「色の知覚と相互作用」。永原康史監訳、和田美樹訳。
 1963年に出版された『Interaction of Color』(色の相互作用)の50周年記念版の完訳である。大学で「色」について教えている講義内容がもとになっている。副題及び原題にあるように、色がある物質そのままの色として知覚されることはほとんどなく、周囲の色や環境によって見え方が違ってくるということが、実践として理解できるように書かれている。モノトーンの単純な例でいえば、同じ灰色が黒い背景のもとに置かれたときと白い背景の中に置かれたときとではまったく違って見えるというようなことだ。同様に、赤や青、緑や紫といった様々な色の関係の中で、それらがどのように知覚化されるかということが書かれている。そして、理屈から入るのではなく、実際にどう見えるのかということを重要視しており、いろいろと試行錯誤して手を動かしてみて、理解を深めていくという方法をとっている。
 前半が説明、後半が図版とその解説という構成になっていて、説明を読みながら図版にも目を通しという感じで読んでいく。カラーの図版がなければ何が書かれているかよくわからないので、図版が多いのはありがたい。でも、印刷のせいなのか私の脳のせいなのか、説明で同じ色に見えると書いてある部分の色が、私にはどうしても違う色にしか見えなかったり、説明の日本文の意味がよくわからなかったりしたところがいくつかあった。こういうのは結局は錯覚の話なので、人によって見え方が異なったりすることはあるのかもしれない。
 とはいえ、この本に書かれていることは、絵を描いたりするような人にとっては知っておくべき内容だと強く思った。絵を観るだけで自分では描かない人にとっては必ずしも必要な知識ではないけれど。

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