2017年9月11日月曜日

『知性の顚覆』橋本 治

 朝日新書。副題「日本人がバカになってしまう構造」。
 知性やばいんじゃね?という話を連載の中でしていたら、知性、顚覆しちゃいましたね、となってこの本は終わる。イギリスのEUからの脱退やトランプ大統領の誕生のことだ。ちょっと前まで「反知性主義」という言葉が流行っていたように感じるけれど、この本はそのことを論じる時に「ヤンキー的なもの」という話題から入る。よく読むと「ヤンキー・イコール・反知性」と言っているわけではないのだが、どうにもいやな感じはする。と思っていたら今度はいきなり阿波踊りの話になり大学闘争の話になり東京山の手の話になりと、ヤンキーと知性とがどうなったのかわからぬままに話はどんどん進んでいく(一応著者なりのヤンキーの定義は途中で出てくるのだが)。最終的には「反知性」とは何か。主義なんてものじゃなくて空気なんじゃないかとかいう話につながっていくわけだけれど、そこに至るまでの道筋はなかなか一筋縄ではいかない。それはあとがきにも書かれているように本人も自覚しているところで、その一筋縄ではいかないところを、読者のみなさん、がんばって考えてみてください。そうすればいわゆる知性というものの全体像が浮かんでくるかもしれませんよ、と言いたいようだ。そんな無責任な、と思わないでもないけれど、本書の中でそのネタは十分仕込んであるということなのだろう。得意の橋本節に踊らされ、私の思考は未だ宙に浮いたままにある。

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