2017年9月6日水曜日

『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』矢部 宏治

 講談社現代新書。
 日本の上空には米軍に支配されている空間がかなりあり、沖縄などすぐに思いつくところばかりでなく東京上空にもあって、民間機はそこを避けるように飛んでいる。米軍は日本において治外法権を与えられている。自衛隊は米軍の指揮の下で行動する。など、ふつうに何気ない生活を送っている私のような人間からするとにわかには信じられないことが、事実として語られる。しかも多くの証拠をもとに。
 それによると、米軍と日本の間には多くの密約があるらしい。そしてそれらの密約や、日本の官僚と米軍組織からなる日米合同委員会での決定事項は、なんと憲法や条約よりも上位のものとして扱われるらしい。なるほど確かに辻褄は合っているように思える。米軍の隊員が日本で犯罪を犯しても、すぐにアメリカに引き取られてたいした罪に問われなかったり、こんなに国民が反対しているのにオスプレイが飛び回っていたり、アメリカの一般住宅の上空ではあり得ない低空飛行が沖縄で行われていたりしているにもかかわらず、それを止めることのできない日本。そのルーツを戦前にまで遡り、敗戦、憲法制定、朝鮮戦争、安保条約、砂川事件判決、安保関連法案採決という流れの中で捉えていく。
 読んでもよくわからないところはある。密約等が憲法や国際法規よりも上位にあるという異常事態が常態化していて、それを変えることができないのはなぜかだとか、集団的自衛権のこととか。それはともかく、この本に書かれているストーリーは荒唐無稽というわけでもなく十分あり得ることだし、もし本当のことなのだとしたらどうにかしなければならないだろうと思う。この内容が広く日本国中で知られるようになってもなおかつ日本と米軍との関係が変わらないのだとしたら、本書に書かれていることは間違っているのかもしれない。でも本書の内容が正しいかどうか確かめる方法が他にないのだとしたら、やっぱりこのことは「知ってはいけない」のではなく、皆が「知らなければならない」。信じる信じないにかかわらず、試しにページを開いてみるのはどうだろう。

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