2017年10月19日木曜日

『鈍感な世界に生きる敏感な人たち』イルセ・サン

 ディスカヴァー・トゥエンティワン。枇谷玲子 訳。
 HSP(Highly Sensitive Person)と呼ばれる人たちがいる。「とても敏感な人」という意味だ。民族を問わず、人口の15~20%(つまり5人に1人くらい)いるといわれている。この概念を提唱したのは、アメリカの精神分析医で学者のエレイン・アーロンという人で、1996年のことだ。これは「性格」なのではなく、生まれ持った「性質」なのだという。人を男女に分けるように、ただ、「とても敏感な人」と「タフな人」に分けただけのことらしい(「タフな人」は5人に4人ということだ)。HSPは、音や匂いに敏感だったり、良心的、創造的、影響を受けやすい、感情移入しやすいといった性質を持つのだという。色々なことによく気がつき、多くの情報を内部に取り入れてしまうために、辛いことだけではなく楽しいことにもすぐに疲れてしまうのだともいう。一般には神経症的、抑圧的、心配性、恥ずかしがり屋などと表現されてきた人たちで、豊かな精神世界を持つものの、不当に低い評価を受けてきたと著者は述べている。
 この本は、そんなHSPの人たちに向けて書かれたものだ。HSPの気質の説明や、その人の抱えやすい問題を解説した上で、鈍感な人たちとうまく付き合うにはどうしたらいいか、敏感な自分とどう付き合っていけばいいかなどについて、丁寧に提案している。本書の冒頭にはHSPチェックリストなるものもあって、結果を鵜呑みにしてはいけないらしいが、自分がどの程度そのような気質を持っているかを知ることができる。
 私はこれまで数多くの心理テストやカウンセリング、占いなどを受けてきたが、この本に書かれている性質以上に自分のことを的確に言い当てたものはなかった。その意味でとても驚いた。と同時に、HSPではない人に、このことをきちんと理解してもらうことの難しさをも感じた。そういう「性格」は治した方がいいよ、HSPなんて、前向きに元気に生きられないことに対するタダの言い訳じゃないか。そんな風に言われて終わりそうだ。だからこそ、この本に書かれているような「対策」が必要なのだと思う。まわりの人と、あるいは自分とどう付き合っていけばいいのか。この「対策」はHSPにとってはなかなかハードルの高いものだとも感じたが、少しずつ積み木を重ねていくようにコツコツと実践していけば、明るい未来が開けてくることだろう。とてもいい本に出会えたと思う。

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