2018年1月3日水曜日

『大人のための国語ゼミ』野矢 茂樹

 山川出版社。
 人に伝わる文章を書くのが苦手。文章の内容をうまく捉えられない。質問にうまく答えられない。議論をしていてもなかなか結論まで行かない。相手の言うことは変だと思うのだけれどうまく反論できない。そんな悩みを持っている大人に向けて国語の授業をしよう、というのが本書のコンセプトである。
 ちょっとわかりづらい文章を書き直す問題、接続詞の使い方を問う問題、文章の幹を捉えるための要約の問題、他人の主張に反論する問題、あるいは質問する問題など、多くの問いから成り立っていて、その問題に答えていくことで国語力をつけてもらおうとしている。問題はなかなかに難しい。さらっと読み流してしまうとなんとなく意味が通じてしまうのだけれど、よく読むと変な箇所が紛れ込んだりしているという、絶妙な問題だらけなのである。問題の文章は、参考にしている文献はあるものの、ほとんどを著者が手がけている。目的としている国語力にピタッとフォーカスした問いを作るためである。見事である。
 著者は、「ゆっくり読み進んでほしい。(中略)せめて一週間、できれば一箇月はかけてもらいたい」と言っている。問題文を300字程度で要約せよ、なんて問題もあるので、きちんとすべてに真面目に取り組むと、結構な時間がかかるのだ。「大人のための」というタイトルではあるが、高校生、あるいは中学生といった学生にも読んでもらいたい気がする。美文を書くためのテキストとしてではなく、きちっと伝わる日本語を操るために、一読の価値がある。

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