2018年9月1日土曜日

『世界の秘密』高井 息吹

 2017年。
 彼女のセカンドアルバムにあたる本作でも、ファーストアルバムと同じように、ピアノと特徴のある歌声によって独得の世界観を醸し出している。ささやく声と静かなピアノがまるでモノローグのような『うつくしい世界』で始まるこのアルバムは、2曲目以降バックバンド「眠る星座」を交えて急展開を見せる。ガーシュインの『ラプソディ・イン・ブルー』のフレーズを大胆に取り入れた『Carnival』で満開に花開き、そのあとはもう彼女の独壇場だ。時に激しく、時に穏やかに、自在に音を操っていく。不協和音で不器用な『marionette』を表現したあとには正統派ポップの『LaLaLa-i』。かと思えばその次にはピアノによる物静かなインプロヴィゼーション『-水面-』で心を落ち着かせ、そのまま気づいたら次の曲『水中』に移っている。「ポカリスエットゼリー」CM曲として書き下ろした『青い夢』を壮大に奏で、最後に『今日の秘密』でしめやかに幕を閉じる。
 歌詞を前面に押し出すのではなく、あくまで音楽として大きな作品にまとめようとしているという印象を受ける。高井息吹の多面的ながらも一貫性のある音楽を知るには、このアルバム全体を通して聴くことが一番の近道なのだと思う。

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