2018年11月8日木曜日

『国家がなぜ家族に干渉するのか』本田由紀、伊藤公雄 編著

 青弓社。副題「法案・政策の背後にあるもの」。
 この本で述べている「国家」は、一般的な「国家」のことではなく、現代日本、特に戦後の自由民主党政権、さらには現安倍政権のことを指しているとみてよい。著者らは、ここ数年の家庭教育支援法案、親子断絶防止法案、自由民主党の憲法改正案(特に24条)、内閣府の婚活支援政策などが、日本社会の家族のあり方を大きくゆがめる方向に進めているのではないかという問題意識からシンポジウムを企画し、その内容を本書に起こした。
 この人口減少社会において、結婚、出産、教育に至るまで国家が家族をサポートしていくことや、離婚後に親権を持たない親も子供ときちんと会えるようにすることや、家族みんなで助け合って生きていこうという施策が行われることは、一見何の問題もなく、むしろ盛り上げていった方がいいんじゃないかとさえ思える。しかし、そうではない、危険なことなんだということを、彼らは読者に訴えている。
 どういうことか。ニュアンスの違いを恐れずにあえて単刀直入にいうと、今の国家は「個人」の権利を剥奪し、「家族」に責任、義務を押しつけ、「家族」を国家に組み込もうとしているのだという。乱暴にいえば、今の国家は国民に対して、国のために結婚、出産をし、生まれた子供には愛国心、郷土愛を植え付け、自助・共助によって生きていくことを強制しようとしているということだ。
 私は個人の権利はきちんと認めてほしいので、個人あっての家族だし、個人あっての国家だと思っている。しかも現代では家族のあり方は多様であり、結婚するか、シングルのままでいるかは自由だし、パートナーが男女のペアである必要性もないと思うのだ。本書で述べているように、国家は家族に「介入」するのではなく、保護し、見守ってほしい。家族のあり方を国家に強制されたくはない。そういう感想を持てたのは、本書が法案や政策等の問題点をかみ砕いて説明してくれたお陰だ。政治のことなんかどうでもいい、社会のことなんかどうでもいいなんて考えて生きていると、知らないうちに個人の自由、権利等が制限されて、身動きがとれなくなってしまうかもしれない。だから、皆がもっと政治に興味を持ち、監視していかなければならないと強く感じた。「法案・政策の背後にあるもの」をきちんと把握した上で、その法案・政策に賛成するか、反対するかは当然個人の思想の自由であるが、その前提として、政治にもっと興味を持たないと、と思う。

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