2019年1月29日火曜日

『保守と立憲』中島岳志

 スタンド・ブックス。副題「世界によって私が変えられないために」。
 本書は一部を除き、2012~2018年にかけて著者がメディアで書いた論考をまとめたものだ。そのため、各コラムの関係性やつながりはちょっとわかりづらい。そもそも別の機会に書いたものを並べたものだからしょうがないのだろうけれど。
 とはいえ、本書の中には一本の線が流れている。それは、保守とは何か、というものである。著者は「リベラル保守」を自認している。え、「リベラル」と「保守」は対義語じゃないの?と思った人も多いかもしれない。しかし、彼は「価値」を巡る対立軸は「リベラル」と「パターナル(権威主義的、父権主義的)」のふたつだとする。また別のところでは、ときに民主主義と立憲主義は対立することもあると述べている。では「保守」はどこに位置づけられるのか。彼によると、人間の理性の完全性に疑いを持ち、「ラディカルな変化を退け、漸進的な改革を進め」るのが「保守」なのだという。そういった観点から、現在の安倍政権は「保守」ではないと喝破する。そして「リベラルな保守」という立場から、立憲民主党に期待を寄せる。かの党を立ち上げた枝野幸男との対談が掲載されているというのには、そういう文脈がある。
 本書は安倍政権批判的な論考を多く含むが、リベラル保守という立場から見たときに、現政権のどこに危うさを感じるのかがよくわかる。私としては個々人が親安倍であろうと反安倍であろうとどっちでも構わない。しかし、ただなんとなく政権を支持、不支持するのではなく、その政権の目指している世界観をきちんと見据えた上で、その判断をすべきなのであろうことは強く感じた。我々の未来は政治によって大きく変わりうるのだから。

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