2018年7月27日金曜日

『If All the Young Ladies』Shannon Quinn

 2015年。
 シャノン・クインのセカンドアルバム。彼女はカナダのフォークミュージシャンで、主にケルティック系のフォークを歌っている。ヴォーカルのほかフィドルも担当していて、味のある音色を響かせる。本作にはフィドルメインのインストゥルメンタルも数曲入っていて、その音も存分に楽しませてくれる。ほんのちょっぴりブルーグラスっぽい雰囲気を持つものもあるかな。彼女のちょっとハスキーがかった歌声も、自然で親しみやすい雰囲気があっていい。なんだか懐かしい感じがしてほっとする。ギターの音もなかなかいい味を醸しているんだけど、これを弾いているのは他のギタリストだ。オリジナル曲はあんまりない感じ。でもアルバム全体は統一感があって、とても聴きやすい。彼女のアルバムは初めて手にしたけれど、気に入った。

2018年7月26日木曜日

『グッズ製作ガイドBOOK』グラフィック社編集部

 グラフィック社。
 販促グッズとかって、クリアファイルとか手帳とか缶バッジとかはすぐに思いつくけれど、他にどんなものがあるのか、一般の人には想像がつかないものだ。私も当然その部類で、この本を開くまで、こんなにもたくさんの選択肢があるなんて思いもよらなかった。
 ノート、定規、クリップ、マスキングテープ、紙コップ、ステンレスボトル、絆創膏、ギターのピック、トイレットペーパー、どら焼き、金太郎飴、靴下、タイツ…。すごい種類のものを作れるんだと感動した。そしてそれぞれについて、納期、単価、最小ロットなども載せてある。もちろん連絡先も。
 最小ロットが1000個とか個人には難しいものもあるけれど、マグカップみたいに1個から作れるものもあって、ちょっと試しに作ってみたくなってしまう。それぞれのグッズについて1社しか紹介されていないけれど、どんなものがあるのかこの本で調べて、ネットでいろいろな会社を比較検討してみればよいのだと思う。イメージがふくらんで、とてもいい本を買ったと思った。

2018年7月25日水曜日

『評価の経済学』デビッド・ウォーラー、ルパート・ヤンガー

 日経BP社。月沢李歌子 訳。
 企業でも個人でも、はたまた国家でさえも、他人からの評価に大きな影響を受けている。誰もが「評価ゲーム」に参加しているからだ、と著者は言う。ここでは「能力」に対するものと「性質」に対するものを分けて考えているが、全体として見た場合、それらがどのような評価を形づくっているのかについて論じている。
 著者がこの評価を決定している要素として挙げているのが、「行動」「ネットワーク」「ナラティブ(物語)」の3つである。この3つを軸として、古代ローマから現代に至るまでの多くの人物、企業、国家などを例にとり、「評価ゲーム」の内情をわかりやすく展開してみせている。
 そうやって評価についていろいろと議論しているのであるが、その評価を完全に管理することはできないのだと著者は言う。他人が自分をどう理解するかを操作できると考えることは危険なことだとさえ言う。では我々は指をくわえて何もできないのか。そうではない。他人の自分に対する理解に影響を及ぼすよう戦略を立てることはできる。そしてそこで大事になってくるのが、上で述べた3つの要素なのだと著者は結論づける。
 本書で取り上げられているのは有名人や著名人、大企業ばかりであるけれど、これを自分のこととして置き換えることはもちろんできる。評価ゲームに強い人間は明らかにいるのである。せっかく本書ではその秘密を懇切丁寧に教えてくれているのだから、これを実生活に生かさない手はない。当然、そんなに簡単なことではないけれど。
 なお、蛇足ではあるが、これのどこが経済学なのかはよくわからなかった。

2018年7月23日月曜日

『ちひろメモリアル: 生誕100年 (別冊太陽 日本のこころ 263)』

 平凡社。
 別冊太陽では2007年にもいわさきちひろ特集を組んでいるけれど、今回は彼女の生誕100周年を記念したものとなっている。彼女の愛らしい作品がたくさん掲載されていて、しかも図版が大きいのがとてもうれしい。絵本のこと、『子どものしあわせ』の表紙連載のこと、また、彼女が生まれてから亡くなるまでの写真も多く取り上げられている。家族のこと、家のこと、そして人となり。いわさきちひろという童画家がどういう思想を持って、どのように絵に取り組んできたのか、それをここまであからさまに書いてあるのを読むと、なんだか覗いてはいけない秘密の扉を開いてしまったかのように、逆にこちらがドキドキしてくる。
 私が一番好きな画家かもしれない。小学生の頃から彼女の絵を見て育った。先日ある会合でご一緒させていただいた方に「お好きな画家は?」と問われて、ついフェルメールやシャルダンを挙げてしまったのだけれど、そのときに「いわさきちひろです」ととっさに答えられなかったのを後悔している。

2018年7月16日月曜日

『友への手紙 森田童子自選集』森田童子

 1981年。2016年リイシュー盤。
 16曲入りの森田童子自身の選曲によるベスト盤。当初カセットテープだけの発売だったらしい。透きとおるような絹のような高音の歌声が奏でる悲しい旋律。いや、悲しいのはメロディだけじゃないんですね。歌詞もまた辛い。森田童子を知っている人にとってはそんなのは当たり前なのかもしれないけれど、「ぼくたちの失敗」くらいしか馴染みのない私のような者には結構きつい。曲の合間にはさまれるモノローグもまたそれに輪をかけている。声が美しすぎて繊細すぎて、その声が訴える内容がまたそれにマッチしすぎていて。
 このアルバムを聴く前にはあいみょんをずっと聴き続けていたというのも悪かったのかもしれない。あいみょんに精神をえぐられて、そのあと森田童子を繰り返しかけてさらに精神の内部を犯されてしまったのカナ。ファンだったら一聴の価値はあるのだと思う。

2018年7月14日土曜日

『飛べる、きっと飛べる』

 友人がとった子供の写真がとても素敵だったので、許可を得てイラストの参考に使わせていただきました。色や背景を変えたり飛行機を描き加えたりしてストーリー性を持たせました。
 この子の素敵な未来を暗示させるような表現を目指したのですが、果たしてうまくいったでしょうか。

2018年7月13日金曜日

『青春のエキサイトメント』あいみょん

 2017年。
 確かミュージック・ステーションだったと思うんだけど、そこであいみょんが歌っていた『君はロックを聴かない』を耳にして、一気に引き込まれてしまった。メロディ、音楽スタイル、歌詞の全部が気に入った。
 それでこのアルバムを手にしたのだけれど、2曲目の『生きていたんだよな』を聴いたときは、そのあまりに生々しい描写に背筋にひんやりしたものが走った。生きることをこういうふうに表現しちゃうんだ、という感じで、衝撃だった。この曲だけではない。どの曲も、まっすぐで正直な歌詞が心に響いてくる。キャッチーなメロディと聞き取りやすい彼女の声も、リスナーの心に思いを届ける要素になっているのだと思う。他には、『いつまでも』『愛を伝えたいだとか』『風のささやき』『ジェニファー』あたりが気に入った。
 初めはこの衝撃に戸惑いを覚えたけれど、聴けば聴くほどはまっていくアーティストだ。

2018年7月12日木曜日

『共感のレッスン』植島啓司、伊藤俊治

 集英社。副題「超情報化社会を生きる」。宗教人類学者である植島と美術史家の伊藤による対談。
 「わたし」と「あなた」。「わたし」は「わたし」を飛び出して「あなた」になる。そして「あなた」は「わたし」となる。その境界はいったいどこに引かれるものなのだろうか。「わたし」とは「脳」であると思っている人が多いけれど、そうじゃないんじゃないか。そんなことを、脳科学や生物学、哲学、心理学、文学など、さまざまな分野の成果を同じ俎上に載せて、脳や意識を身体に還元することを試みる。
 あくまで個人的な感想ではあるけれど、その試み自体の重要性は理解できるものの、ここで行われている議論には、正直なところついていけなかった。科学と非科学、あるいは似非科学がごたまぜになって、それらの区別すら判然としない。勢いそこから導かれる結論も怪しげに見えてくる。二人がさまざまな分野の知識を断片的ながらも豊富に持っているのはよくわかる。しかしながらそれらの知識を結びつけるのには失敗しているように思える。科学とは何かについての洞察が足りないのではないか。もちろん彼らのいうように、科学では説明できないことが世の中には山ほどあふれているということには同意するのだが。
 少なくとも私には、本書が共感のレッスンをしてくれているようには思えなかったし、超情報化社会の生き方も教えてくれているようには感じなかった。申し訳ないけれど。

2018年7月7日土曜日

『クラウド時代の思考術』ウィリアム・パウンドストーン

 青土社。森夏樹 訳。副題「Googleが教えてくれないただひとつのこと」。
 グーグルで検索すれば何でも教えてくれる。じゃあ知識なんて蓄えなくてもいいのではないか。そんな風にも思えてくるこの時代。果たして真実はいかに、というのがこの本の主題。
 結構な分量のページのほとんどを、アメリカ人の知識に関する統計や個別事象などの紹介に充てている。そこで示されているのは、驚くほど多くのアメリカ人の知識が乏しいということである。そしてそこに通底して流れているのがダニング・クルーガー効果で、「知識や技術にもっとも欠けた者の特徴は、知識や技術の欠損をまったく理解できない」というものだ。自分に知識がないことを理解していないから、自分に対する過信、自信が生じているというのだ。本書では、それを裏付ける証拠が次々と挙げられている。投票行動や、特定の政策への賛成、反対の立場と、それとはまったく関係がないと思われる歴史や地理、文学の知識との相関などである。そしてそれらからわかるのは、どうでもいい知識でも、それを持つものの方が収入が多かったり金持ちだったりするという事実だというのだ。
 ただ、個人的にはあまりおもしろい本ではなかった。ひたすら何かと何かの相関関係を延々と取り上げているばかりで、著者が結局何を言いたいのかよくわからなかった。そもそも相関関係は因果関係を示しているわけではないし。また、この問題に正答したのは70%しかいなかったとか、この問題は11%もの人が誤答したとかいう文章が混在し、著者の恣意的な数字の扱いに困惑させられた。まあ、こんなことを言うと、本書の内容も理解できないなんて、(著者が主にターゲットとしている)ミレニアム世代に顕著に見られる知識の欠如のせいだ、なんて言われかねないのだけれど。

2018年7月1日日曜日

『あいろーど厚田オリジナルブレンドコーヒー』徳光珈琲

 北海道石狩市厚田区に、「あいろーど厚田」という道の駅がこの春できた。そこで売られていたのがこのコーヒー豆である。徳光珈琲は石狩市の花川という場所に店を構えたのが最初なので、おそらく同じ石狩市つながりでオリジナルブレンドを提供することになったものと思われる。たぶん。
 やや深煎りの酸味の少ないコーヒーで、昔ながらの雰囲気のいい喫茶店で独自ブレンドとして出していそうな味。苦味系とはいえそんなに強い苦味があるわけではなく、上品で透明感があり飲みやすい。ナッツのような香ばしさがまたいい。道の駅の売店で豆が売られているけれど、レジの横にあるコーヒーサーバーでも提供していて、その場でも飲める。

道の駅石狩「あいろーど厚田」』石狩市厚田区厚田98-2
徳光珈琲

『はじめてのゼンタングル』さとう いずみ

 自由国民社。
 「絵心ゼロからのスタート!」「誰でもできる!新感覚アート」と謳っているだけのことはあって、とてもわかりやすい。ゼンタングル(Zentangle)というのはパターンアートの一種で、リック・ロバーツとマリア・トーマスという人が2004年に教えはじめたのが最初らしい。アメリカ、日本など、各国で商標登録されているという。様々なパターン(公式サイトによると、1000パターン以上)を組み合わせて、ひたすらペンで描き続けるというもので、失敗がない、無心になれるというのがいいのだという(ゼンタングルの「ゼン」の語源が「禅」だというのも納得できる)。そんなゼンタングルに初めて取り組む人向けに、100パターンの描き方を丁寧にわかりやすく解説し、ギフトタグやエコバッグなどの模様への展開などを紹介しているのが本書である。
 おもしろいなと思った。適当に描いても結構いい感じに仕上がって、洗練された印象の作品ができあがる。あまり考えないで描いているのに、できあがったものはかっこいい。ただ、私にとってはそれがちょっと退屈で、性には合っていない感じがした。自分の作品には自分の意思を込めたい。とはいえ、このパターンの引き出しは、ちょっとした背景や衣服などの模様を描く時には役に立ちそうな気はする。というわけで、本書に取り組むことでゼンタングルに入門できたことは、よかったんだと思う。
 この本自体は、ゼンタングルを始めたい人にとって、とてもいい本だと思います。興味のある人は是非。