2018年7月16日月曜日

『友への手紙 森田童子自選集』森田童子

 1981年。2016年リイシュー盤。
 16曲入りの森田童子自身の選曲によるベスト盤。当初カセットテープだけの発売だったらしい。透きとおるような絹のような高音の歌声が奏でる悲しい旋律。いや、悲しいのはメロディだけじゃないんですね。歌詞もまた辛い。森田童子を知っている人にとってはそんなのは当たり前なのかもしれないけれど、「ぼくたちの失敗」くらいしか馴染みのない私のような者には結構きつい。曲の合間にはさまれるモノローグもまたそれに輪をかけている。声が美しすぎて繊細すぎて、その声が訴える内容がまたそれにマッチしすぎていて。
 このアルバムを聴く前にはあいみょんをずっと聴き続けていたというのも悪かったのかもしれない。あいみょんに精神をえぐられて、そのあと森田童子を繰り返しかけてさらに精神の内部を犯されてしまったのカナ。ファンだったら一聴の価値はあるのだと思う。

2018年7月14日土曜日

『飛べる、きっと飛べる』

 友人がとった子供の写真がとても素敵だったので、許可を得てイラストの参考に使わせていただきました。色や背景を変えたり飛行機を描き加えたりしてストーリー性を持たせました。
 この子の素敵な未来を暗示させるような表現を目指したのですが、果たしてうまくいったでしょうか。

2018年7月13日金曜日

『青春のエキサイトメント』あいみょん

 2017年。
 確かミュージック・ステーションだったと思うんだけど、そこであいみょんが歌っていた『君はロックを聴かない』を耳にして、一気に引き込まれてしまった。メロディ、音楽スタイル、歌詞の全部が気に入った。
 それでこのアルバムを手にしたのだけれど、2曲目の『生きていたんだよな』を聴いたときは、そのあまりに生々しい描写に背筋にひんやりしたものが走った。生きることをこういうふうに表現しちゃうんだ、という感じで、衝撃だった。この曲だけではない。どの曲も、まっすぐで正直な歌詞が心に響いてくる。キャッチーなメロディと聞き取りやすい彼女の声も、リスナーの心に思いを届ける要素になっているのだと思う。他には、『いつまでも』『愛を伝えたいだとか』『風のささやき』『ジェニファー』あたりが気に入った。
 初めはこの衝撃に戸惑いを覚えたけれど、聴けば聴くほどはまっていくアーティストだ。

2018年7月12日木曜日

『共感のレッスン』植島啓司、伊藤俊治

 集英社。副題「超情報化社会を生きる」。宗教人類学者である植島と美術史家の伊藤による対談。
 「わたし」と「あなた」。「わたし」は「わたし」を飛び出して「あなた」になる。そして「あなた」は「わたし」となる。その境界はいったいどこに引かれるものなのだろうか。「わたし」とは「脳」であると思っている人が多いけれど、そうじゃないんじゃないか。そんなことを、脳科学や生物学、哲学、心理学、文学など、さまざまな分野の成果を同じ俎上に載せて、脳や意識を身体に還元することを試みる。
 あくまで個人的な感想ではあるけれど、その試み自体の重要性は理解できるものの、ここで行われている議論には、正直なところついていけなかった。科学と非科学、あるいは似非科学がごたまぜになって、それらの区別すら判然としない。勢いそこから導かれる結論も怪しげに見えてくる。二人がさまざまな分野の知識を断片的ながらも豊富に持っているのはよくわかる。しかしながらそれらの知識を結びつけるのには失敗しているように思える。科学とは何かについての洞察が足りないのではないか。もちろん彼らのいうように、科学では説明できないことが世の中には山ほどあふれているということには同意するのだが。
 少なくとも私には、本書が共感のレッスンをしてくれているようには思えなかったし、超情報化社会の生き方も教えてくれているようには感じなかった。申し訳ないけれど。

2018年7月7日土曜日

『クラウド時代の思考術』ウィリアム・パウンドストーン

 青土社。森夏樹 訳。副題「Googleが教えてくれないただひとつのこと」。
 グーグルで検索すれば何でも教えてくれる。じゃあ知識なんて蓄えなくてもいいのではないか。そんな風にも思えてくるこの時代。果たして真実はいかに、というのがこの本の主題。
 結構な分量のページのほとんどを、アメリカ人の知識に関する統計や個別事象などの紹介に充てている。そこで示されているのは、驚くほど多くのアメリカ人の知識が乏しいということである。そしてそこに通底して流れているのがダニング・クルーガー効果で、「知識や技術にもっとも欠けた者の特徴は、知識や技術の欠損をまったく理解できない」というものだ。自分に知識がないことを理解していないから、自分に対する過信、自信が生じているというのだ。本書では、それを裏付ける証拠が次々と挙げられている。投票行動や、特定の政策への賛成、反対の立場と、それとはまったく関係がないと思われる歴史や地理、文学の知識との相関などである。そしてそれらからわかるのは、どうでもいい知識でも、それを持つものの方が収入が多かったり金持ちだったりするという事実だというのだ。
 ただ、個人的にはあまりおもしろい本ではなかった。ひたすら何かと何かの相関関係を延々と取り上げているばかりで、著者が結局何を言いたいのかよくわからなかった。そもそも相関関係は因果関係を示しているわけではないし。また、この問題に正答したのは70%しかいなかったとか、この問題は11%もの人が誤答したとかいう文章が混在し、著者の恣意的な数字の扱いに困惑させられた。まあ、こんなことを言うと、本書の内容も理解できないなんて、(著者が主にターゲットとしている)ミレニアム世代に顕著に見られる知識の欠如のせいだ、なんて言われかねないのだけれど。

2018年7月1日日曜日

『あいろーど厚田オリジナルブレンドコーヒー』徳光珈琲

 北海道石狩市厚田区に、「あいろーど厚田」という道の駅がこの春できた。そこで売られていたのがこのコーヒー豆である。徳光珈琲は石狩市の花川という場所に店を構えたのが最初なので、おそらく同じ石狩市つながりでオリジナルブレンドを提供することになったものと思われる。たぶん。
 やや深煎りの酸味の少ないコーヒーで、昔ながらの雰囲気のいい喫茶店で独自ブレンドとして出していそうな味。苦味系とはいえそんなに強い苦味があるわけではなく、上品で透明感があり飲みやすい。ナッツのような香ばしさがまたいい。道の駅の売店で豆が売られているけれど、レジの横にあるコーヒーサーバーでも提供していて、その場でも飲める。

道の駅石狩「あいろーど厚田」』石狩市厚田区厚田98-2
徳光珈琲

『はじめてのゼンタングル』さとう いずみ

 自由国民社。
 「絵心ゼロからのスタート!」「誰でもできる!新感覚アート」と謳っているだけのことはあって、とてもわかりやすい。ゼンタングル(Zentangle)というのはパターンアートの一種で、リック・ロバーツとマリア・トーマスという人が2004年に教えはじめたのが最初らしい。アメリカ、日本など、各国で商標登録されているという。様々なパターン(公式サイトによると、1000パターン以上)を組み合わせて、ひたすらペンで描き続けるというもので、失敗がない、無心になれるというのがいいのだという(ゼンタングルの「ゼン」の語源が「禅」だというのも納得できる)。そんなゼンタングルに初めて取り組む人向けに、100パターンの描き方を丁寧にわかりやすく解説し、ギフトタグやエコバッグなどの模様への展開などを紹介しているのが本書である。
 おもしろいなと思った。適当に描いても結構いい感じに仕上がって、洗練された印象の作品ができあがる。あまり考えないで描いているのに、できあがったものはかっこいい。ただ、私にとってはそれがちょっと退屈で、性には合っていない感じがした。自分の作品には自分の意思を込めたい。とはいえ、このパターンの引き出しは、ちょっとした背景や衣服などの模様を描く時には役に立ちそうな気はする。というわけで、本書に取り組むことでゼンタングルに入門できたことは、よかったんだと思う。
 この本自体は、ゼンタングルを始めたい人にとって、とてもいい本だと思います。興味のある人は是非。