2019年1月16日水曜日

『嘘の心理学』村井潤一郎【編著】

 ナカニシヤ出版。クロスロード・パーソナリティ・シリーズ4。
 嘘の見破り方なども書いてあることは書いてあるけれど、いわゆるハウツー本とは一線を画した結構真面目な本。社会生活において嘘はどのような機能を持っているのか。嘘と行動の関係。司法(取り調べ等含む)の場での嘘。対人関係における嘘。パーソナリティとの関連。精神生理学的、あるいは精神分析的アプローチなど、多方面から嘘を扱っている。
 ただし、140ページほどの薄い本なのに10章もあり、これらを9人の専門家が分担して書いているせいで、あまり深いところまでは追えていない。それぞれの章の分量をせめて倍以上に増やして、もっと突っ込んだ話まで書いてもらえると、さらにおもしろい本になったと思う。この本を読んで一番印象に残ったのは、嘘を見破ることはとても難しいということだった。平均してせいぜい半分よりちょっと高い55パーセント程度。嘘はなるべくついて欲しくないけれど、嘘をつかれてこちらがそれに気づかなくても、ダメージを最小限に抑えるような生き方ができればいいなと思った。

2019年1月14日月曜日

『配色デザインインスピレーションブック』Power Design Inc.

 ソシム。
 あんな感じ、こんな感じのデザインを作りたいのだけれど、どんな配色にすればいいのかな、というときに役立つ本。大きく「季節・年中行事」「テーマカラー」「かわいい・きれい」「かっこいい・スタイリッシュ」「高級・優雅」「爽やか・清々しい」「ほのぼの・安らぎ」「ドキドキ・ワクワク」「和・レトロ」の9テーマに分かれていて、その中に小テーマがある。そしてその小テーマごとに、それをイメージした写真、イラストがまずあって、さらに小さな写真8枚にそれぞれに使われている色4つを、CMYK、RGB、Webカラーで示しており、ページをめくるとそのほかに1色から4色まで展開した配色例が掲載されている。
 とても見やすくて、欲しいイメージの配色にすぐにたどり着ける。配色見本は4200近くにもなるけれど、ごちゃごちゃ感はまったくない。今まで持っていた配色見本帳は、配色例はたくさんあったけれど、イメージに合う例を見つけるまで時間がかかった。けれどこの本は直感的に探せる。こんな本を待っていた。いつも手許に置いておきたい。
 類似本は他にもあるので、実際に本屋で見てみて自分に合ったものを探すといいと思う。

『キリンの彫刻と戯れる少年』詩月あき

 B5版(257×182mm)の切り絵です。
 このキリンは、札幌芸術の森野外美術館に展示されている淀井敏夫さんによる『幼いキリン・堅い土』という彫刻作品です。初めは色をつけるつもりだったので、白い部分が多めになっています。切り抜いたあと、モノクロだけでも十分に作品として成り立つと判断して、色はつけないでみました。
 札幌芸術の森野外美術館は札幌中心部からはちょっと離れたところにありますが、広大な敷地に多くの彫刻作品が展示されていて、見応えがあります。かなり歩かされますが、お薦めの芸術スポットです。

2019年1月10日木曜日

『MELT』SHAED

 2018年。シェイド。
 SHAEDはアメリカのエロクトロ・ポップの3人組バンド。このグループを知ったのは、昨年放映されていたアップルのMacbook AirのCM曲『Trampoline』を聴いてからだ。このアルバム『MELT』の2曲目に収録されているのがこの曲だ。初めて聴いたときからすごくいいと思っていて、ようやく手に入れることができた。というのも、当初はアマゾンでCDを買おうとしていたのに、そこでは販売されていなかったからだ。しょうがないので、この度Apple Musicからダウンロードした。
 7曲入りのアルバムで、全部1分から3分ちょっとまでしかない、最近にしては短い曲ばかり。でもすごくいい。『Trampoline』だけじゃなく、表題曲『MELT』も『You Got Me Like』も全部好き。低音と高音のバランスがとても心地いい。ちょっと不思議だったのは、『MELT』と『Keep Calling』、『Silver Knife』がどこかで聞いたことがあるような気がしたことだ。街中でかかっていたことがあるんだろうか。
 本当は好きなアルバムはCDとして手元に置いておきたい口なのだが、しょうがない。ここはあきらめて、他のアルバムもダウンロードで聴いてみることとしたい。
 (アマゾンでは売られていないので、アルバムジャケットは掲載できません)

2019年1月9日水曜日

『けっきょく、よはく。』ingectar-e

 ソシム。副題「余白を活かしたデザインレイアウトの本」。
 余白を有効に使うことで目に訴えるわかりやすいデザインができるということを、新人デザイナーがやりがちなNG例に対する改善例を示すことで教えてくれる。改善例はNG例の横にすぐ並べたOK例の他にも3、4例掲載されているので、レイアウトの正解は決してひとつなのではなく、ポイントを押さえれば無限の改善方法があることがよくわかる(NGなデザインも無限に存在するということではあるが)。
 対象として取り上げているのは、ポスターやフライヤー、商品パッケージ、名刺など多岐にわたっている。NG例、OK例に対してどこがポイントになっているのか解説しているのはもちろんのこと、目的に合わせたイメージに合う配色やフォントのおすすめが載せられているのが、他の類似本との差別ポイントになっているのではないかと思う。 例えばガーリーにするにはこんな感じ、エレガントにするにはこんな感じというように。
 実のところNGとして例示されているデザインは、結構その辺にあふれている気がする。だからそれだけを見たら、まあありだよねと思うのだけれど、OK例と並べてみるとその差は歴然で、プロの仕事というのはこういうことか、と納得してしまう。端的に言ってしまえば、NG例はダサくて訴求ポイントがわかりづらいのに対して、OK例は洗練されていて見ている人に内容が伝わりやすいデザインになっている。
 この本は、帯に「デザインは「余白」が9割。」と書かれているように、「余白」にフォーカスしたように見せかけているけれど、 実際には(本書の中で)余白の重要性の占める割合はせいぜい3、4割といったところという印象を受ける。余白を前面に打ち出してはいるのだけれど、結局は「内容をまとめる」ということだったり「配色を整える」ということだったりする。とはいうものの、本書の内容はとてもわかりやすく的を射ているので、デザインレイアウトの本としてとても役に立つ。「余白」の本というよりは、「デザイン」の本として、お薦めしたい。

2019年1月8日火曜日

『【新版】UI GRAPHICS』

 ビー・エヌ・エヌ新社。副題「成功事例と思想から学ぶ、これからのインターフェイスデザインとUX」。執筆者:水野勝仁、渡邊恵太、菅俊一、鹿野護、萩原俊矢、安藤剛、有馬トモユキ、須齋佑紀、津﨑将氏、ドミニク・チェン、深津貴之、緒方壽人、iA、森田考陽。編集:庄野祐輔、藤田夏海ら。
 本書は『UI GRAPHICS(2015)』の新版ということで、テキストやデザイン例を大幅に刷新しているほか、アーカイブとして旧版のテキストも掲載している。UIはユーザー・インターフェイス、UXはユーザー・エクスピアレンス。
 コンピュータとヒトとをつなぐものとしてのインターフェイスデザインについての最近の動向、あるいは考察を述べた部分と、最近のコンピュータやスマホのソフトウェアのデザインの具体例を掲載した部分の、大きくふたつの要素から成っている。前者からは、iPhoneのデザインの変遷(スキューモーフィズムからフラットデザイン、フルード・インターフェイシーズへ)やGoogleのマテリアルデザインなどを例にとることで、今、コンピュータとヒトとの間ではどのように情報がやりとりされるようになってきたのかがわかる。また後者からは、実際のインターフェイスデザイン例を見ることで、ストレスフリーな、あるいはより自然なソフトデザインとはどういうものなのかを実感することができる。
 これらを読むと、現在のインターフェイスデザインは、「流れ」や「動き」というのがキーワードになっているのかな、という印象を受ける。私個人としては、iOS6までに採用されていた、現実の時計やメモ帳を模したスキューモーフィズムというものがとても好きだったので、iOS7以降フラットデザイン化が進んだときは、なんだかコンピュータがまたヒトの手を離れて独自の進化を遂げたような気がして悲しくなった。それはWindows 8におけるメトロデザインの採用とも軌を一にしている。今や多くの人が当たり前のようにスマホをいじれるようになり、現実っぽさを画面上に再現する必要が薄れてきたということなのだろうし、そっちの方がかっこいいということでもあるんだろうけれど、デザイン的にはそういう風に単純化された一方で、流れや動きによって、より直観的で自然なインターフェイスを目指しているという二律背反的な進歩の仕方というのは、とてもおもしろい現象だな、とも思った。
 本書ではソフトデザインだけでなく、ハードデザインやIoTなどにも触れられており、今後これらのUI、UXがどのように進んでいくのか、わくわくしながら想像を巡らした。その一端を自分も追いかけることができたら、これに勝る喜びはない。

2019年1月6日日曜日

『細野晴臣 録音術』鈴木惣一朗

 DU BOOKS。副題「ぼくらはこうして音をつくってきた」。
 ミュージシャンである細野晴臣の音楽のつくり方について、細野のアルバム11枚にそれぞれ携わったエンジニア7人+細野本人へのインタビューを通じて浮かび上がらせようとした一冊。
 アルバムとエンジニアの組み合わせは以下の通り。『ホソノ・ハウス』-吉野金次、『トロピカル・ダンディー』『泰安洋行』-田中信一、『はらいそ』-吉沢典夫、『S・F・X』『メディスン・コンピレーション』-寺田康彦、『フィルハーモニー』『オムニ・サイト・シーイング』-飯尾芳史、『フライング・ソーサー 1947』『ホソノバ』-原口宏、『ヘブンリー・ミュージック』-原口宏、原真人。
 当時の録音について、微に入り細に入りものすごく細かく話し込んでいる(インタビュー主体だから「話し込んでいる」)。スタジオや機材はもちろんのこと、アプローチの仕方、録音時の雰囲気、細野晴臣とエンジニアとの関係等。そのインタビューだけでも当時の空気感が伝わってきて、まるで録音現場に居合わせているかのような感覚におちいる。ところが本書ではそれだけにとどまらず、各楽曲の楽器担当アーティスト名、マスターテープの写真、マルチトラック・テープやトラックシートの写真、スタジオの写真など、レアな資料がたくさん掲載されている。
 正直なところあまりにマニアックすぎて、機材の製品名とか海外アーティストの影響とかを書かれてもよくわからないというのが実際のところなのだけれど、そんな固有名詞なんか何も知らなくても、臨場感はとてもよく伝わってきて、とても楽しい気分になる。音楽のことをよく知らなくてもこうやって楽しめるのは、この本がホンモノである証拠なんじゃないかなとも思う。私が細野音楽に触れるようになったのはわりと最近のことで、本書で取り上げられているアルバムのうち5枚しか所有していないのだけれど、他のアルバムも聴いてみたくなった。ちなみに本書が出た後、細野は『ヴ・ジャ・デ』というアルバムをリリースしてますね。

2019年1月3日木曜日

『女子文字』小鳥山いん子

 エムディエヌコーポレーション。副題「カワイイ手描き文字デザインブック」。
 小鳥山いん子はイラストレーターであり、ニット作家。彼女の書いたオリジナル文字を49種類掲載している。文字種は英文大文字小文字に数字。フォント集というよりは、アイデア集みたいな感じ。メルヘン文字、音符文字、マスキングテープ文字、ネコ文字、寿司文字、大正ロマン文字、サスペンス文字、ヘビメタ文字など、多様な文字例がたくさん載っている。始めのところには影のつけ方とか袋文字の書き方とか立体感のつけ方とか、基本的なアレンジの方法をレッスンしている。また、最後にはフレームや吹き出しのアイデアも紹介している。
 こういう文字は結局発想力勝負で、慣れてしまうとどんな突飛なアイデアであっても文字にできてしまうのだろうと思う。ただ、やはりその発想を形にする訓練というのはとても大切で、ここを乗り越えるのは大変だけれど、そこをクリアできれば、あとは自由に書けるようになるような気がする。この本はそのアイデアを形にする参考書とみるといいのではないかと思う。私は発想の転換にとても役に立った。今後いろいろと書いてみたい。
 ちなみに、2019年3月31日まで、この本に載っている20書体をフォント化したものが「mojimo-joshi」としてフォントワークスから購入することができます。買い切りで2000円は安いのではないかと。私はこのフォントパックと本書のバンドルを購入しました。

2019年1月2日水曜日

『When I look in your eyes』Diana Krall

 1999年。ダイアナ・クラールによるジャズ・ヴォーカル・アルバム。
 あまりきれいすぎない声がいい。全体的に落ち着いた感じの曲が多く、聴きやすい。伴奏は彼女自身が弾くピアノに、ギター、ベース、ドラムスというシンプルな構成が主体。私は基本的に音楽はBGMとしてしか聴かないのだけれど、他の作業の邪魔にならず、ゆったりとした気分にもさせてくれるので、BGMとしては最高にいいアルバム。

2019年1月1日火曜日

2019年

新年あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。

今年のデザインは、とある映像作品へのオマージュです。わかりづらいかもしれませんが、想像を巡らせていただけると幸いです。