明石書店、高井ゆと里 訳。
すごく難しかったです、私にとっては。
受け身で読んでいるだけではだめだからです。自分で考えなければならない。
なぜタイトルが「トランスジェンダー差別」じゃなくて「トランスジェンダー問題」なのか。
また「議論は正義のために」とあるように、読者に議論を求めている。
この本はその問題の歴史とその問題に対する考え方を詳しく解説してくれています。多くの人の差別的発言、賛同の発言なども取り上げられています。その解説を読みながら、あるいは読んだ後、きちんと自分で考えなければならない。
トランスジェンダーについてはこんなにたくさんの問題がありますが、あなたはどう考えますか?と問われてる。
ご承知のとおり、トランスジェンダーとはちまたに言われるLGBTQ+の「T」です。
LGBTQ+とは、レズ、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、クィア、クエスチョニング等々をまとめた言葉ですね。
本書ではトランスの人々という言葉が多用されますが、以下の人たちを指しています。引用します。
- 出生時には男性として登録されたが、女性であると自分を理解している人(トランス女性)
- 出生時に女性として登録されたが、男性であると自分を理解している人(トランス男性)
- 「ノンバイナリー」的なトランスの人々(自分たちを男性とも女性ともまっすぐ理解していない人々)
この本で扱っている事例の多くはイギリス(UK)のものですが、トランスジェンダーの置かれている状況は本当にひどい。生きることそのもの、あるいは存在そのものを否定されている感じです。
日本の状況は解説やあとがきで少し触れられていますが、UKほどの悲惨さは感じないものの五十歩百歩だという印象を受けます。
とにかく生きづらい。
それは精神的なものだけじゃなく、貧困問題、生死にもかかわってくる問題です。
私が一番驚いたのは、家父長的な考えを持つ保守的な人からの攻撃だけではなく、ある一部のフェミニストやLGBの人たちからの攻撃もひどいということでした。
トランスジェンダー問題というとトイレや温泉の話題に集中する傾向にありますが、それは本質からずれた話題だということを、この本を読んでみなさんにもわかってもらいたいです。
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