翔泳社
ダークパターンっていうのは、主にデジタルマーケティングにおける「消費者のスキを突いて、お金、時間、個人情報をかすめ取る手法」のことだそうです。ディセプティブ・デザイン(人を欺くデザイン)ともいうらしい。
「お試し購入1ヶ月分無料」とか書いてあるところをついポチっとしたら、気づいたら勝手に2ヶ月目に突入していて代金をとられた、みたいなやつです。
さらに解約しようとしたら「解約は電話のみ受け付け」みたいにめんどくさかったりして、余計に腹立たしかったりもしますよね。
しかも勝手にメルマガに登録されてたりなんかして。
それ、ぜんぶダークパターンです。
この本のちょっと面白いところは、これが消費者向けじゃなくてセールスパーソン向けに書かれたというところです。
こういうダークパターンを用いたホームページとかを作ったりしたら、確かに最初は顧客が増えて売り上げも伸びるかもしれない。
だけれど、長期的にみると嫌な思いをした消費者は2度とその商品には手を伸ばさないだろうし、ブランドの評判も落ちるし、売る側にとっても実はマイナス要素になるデザインなんだよ。だから気をつけようね、みたいなスタイルで書かれている。
でもね、たぶん、たぶんだよ。
本音ではこんな手口があるから消費者の皆さん気を付けてね、って教えてくれてるんだと思う。
だからセールスパーソン向けをうたってはいるけれど、消費者であるわれわれも堂々とこの本を読んで、ダークパターンに騙されないようにしたらいいと思う。
この本、図とかも多くて、とってもやさしく解説してくれてるんです。
かた苦しくなくて読みやすいです。
内容的には、『影響力の武器』とか『ファスト&スロー』とか『実践行動経済学』、『ナッジ』(興味ある人はそれぞれ検索してみてね)に書いてあることの焼き直しのような感じで、特に目新しい事例が載ってるわけではないです。
でも視点がちょっと違う(売り手側がマイナスになるんだよ、という視点)のと、本全体のまとめ方がとても上手なのとで、上の本を読んだことのある人でも手に取ってみるといいかも。
また、上に書いた本を読んだことがなければ、余計にこっちの方を先に読んだ方がいいよ、とお勧めしたい。
『影響力の武器』とか『ファスト&スロー』とかって、とってもページ数が多くて、しかも数冊でセットみたいな感じなので、活字が苦手だときついんですよね。翻訳特有の読みづらさもあるし。
というわけで、ごちゃごちゃ書いてきましたが、セールス側の人よりも消費者としてみんなに読んでもらいたいなあと思いました。
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