「資本主義の次に来る世界」ジェイソン・ヒッケル

 東洋経済新報社。野中香方子訳

著者が述べる資本主義の特徴としては、以下のものが興味深かった。

  • たかだか500年の歴史
  • 自然と人(奴隷や労働者)からの搾取による成立
  • 成長主義
  • デカルトによる二元論の影響
  • 教会及び資産家からの支持
  • 富の一極化
  • 生態系の破壊(本書では気候変動に関する記載多し)
結果何が問題になるかというと、このままでは地球がもたないよ、ということ。

じゃあどうすればいいの?
ということについては明確な処方箋を描いているわけではないけれど、
アニミズムが参考になるんじゃないか、って言ってる。

今の資本主義では自然と共存できないぞ

でもアニミズムだったら自然と共存できてる例がいっぱいある

こういう方向性いいんじゃない?というわけ

ちなみにアニミズムっていうのは、すべての物(岩石とか雲とか)や生物(植物含む)に霊魂や精神が宿っているとする信仰や思想

あれ、日本ぽい

でも本書では日本については書かれてなくて、世界の少数部族について触れてます。

ここまでで思ったんだけど、大事なこと書くの忘れてた。

GDPの成長なんてしなくていいじゃん、脱成長だ!

それじゃ資本主義成り立たないじゃんと思ったあなた、正解です。

だから「資本主義の次に来る世界」として、資本主義以外の道を探ってるのがこの本なんです。

最後に蛇足ですが、気になった点を三つだけ。

  • ちょっと恣意的な数字の扱いをしているところがある。でも本論にはあんまり影響ないよ
  • デカルトを悪く言いすぎじゃね?
  • 個人的には宗教の影響も大きいんじゃないかと思ってるんだけど、それについての言及がほんのちょっとしかなかったのが残念
でもまあ、今の世界がこのままいくと地球あるいは人類の破滅に向かってるというのは正しい認識なんじゃないかと思う。

そのための問題提起として、読んでみる価値はあると思う。

もしかしたら何で私の給料があがらないんだろう?と悩んでる人に対するひとつの回答かも。

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